2017/04/03 23:52

「よい珈琲豆(なままめ)の要素について」
若いコーヒーマニアの後輩から質問があったため
少しまとめ。

項目別の重要度の割合はどうなのか、
・栽培
・収穫
・精製
・保管
・流通
このことを考えるまえに・・

コーヒーのことを考える時には必ず南北問題がついて回る。
南で生産して北で消費する。
すなわち赤道付近のコーヒーベルトで栽培生産されるコーヒー。
それを消費するのは北の人々。

これを未だに「搾取」というような見方をする人がいる。
でも彼らから収益性の高い換金性作物としての珈琲の生産を
取り上げたらどうするか、明白ではないか。

反対に品質の高い美味しいを市場で公正に取引することはどうか。
アラビカコーヒーはドルで決済される国際商品である。

たとえば「コモディティクラス」の安くて品質の宜しくないコーヒーを輸入し、消費地のロースターが時間と労力をかけて
「ハンドピック」するのはどうか。
それは単に「欠点豆」が取り除かれた低グレードの豆であって
高品質で美味しい珈琲にはならない。

さらに、消費地で時給850円の人を使い1時間かけて
10kgの生豆を8kgまでハンドピックすることをどう考えるか。
たとえばエチオピアの一人当たりGDPは日本の1/50だ。
一日の賃金は想像してほしい。
日本での850円はわずかな金額だが、一日の収入が数ドルの
エチオピアでは大金だ。

国家農業政策としてコーヒーを農業サブセクターの優先産品
としているルワンダでは、ウォッシングステーション(CWS)
の設置がコーヒーの品質を高めることで生産者及びルワンダ
全体の所得を増やしている。それなのに
「わざわざ」欠点豆の多い低グレードの豆を輸入して
日本でハンドピックすることは彼らから仕事を取り上げている
わけであり、こうした取り組みに水を差すものであると考える。
しかも香りの高い高品質コーヒーにはならないのである。

サスティナブルという概念は植生としてのコーヒーノキを
さしているのだろうが、その前に美味しいコーヒーを
消費地が継続して購入していかないと、それは絶えてしまうだろう。